第2回 企業格付けとは?
1月号はいかがでしたでしょうか?銀行員との付き合い方(基本編)の問題は100点満点でしたか?70点未満の方は1月号を読み返してから2月号に進んでくださいね。
さて今月は「企業格付けとは?」です。とても重要です!
以前、あるテレビ番組で「芸能人」の格付けをしていました。高いワインと安いワインを飲み比べるとか、ありましたよね。
銀行でも、基本的に年1回、決算書をさまざまな角度から分析します(とても厳しい目で分析します。昔、私もしていました)。
さて、銀行員はどんな分析をするのでしょう?知りたくないですか?
私たち中小企業は、この分析の内容を把握し、理解し、しっかり対応すれば、必ず新規出店への資金調達への道は開けます!
私が銀行に勤めていた時、ある飲食Aチェーンの経営者が言っていました。「企業格付けの対策をしたら、銀行やリース会社からの受けがとてもよくなった」「いつもより、電話をしてくる回数も増え、取引を拡大したいとの依頼も増えた」「金利も下がり、借入期間も3年でなく、5年の取引ができるようになった」とのことです。とてもうれしいですよね。
また、支店長の決裁権限の与信枠もアップし、本店の審査部を通さず、リアルタイムでの取引も可能となったそうです。
年間5店舗の新規出店を考えている㈱繁盛商会(*)の若手社長の運命は?
さて、今月も質問です!若手社長、頑張ってください!
質問1:「企業格付け」とはどんなものでしょうか?
以下の項目から、必要を思われるものを5個選んでください。
- 会社業績の通信簿
- 社長の素行の通信簿
- 財務分析
- 資金繰り分析
- 業界分析
- 会社の担保能力
- 社長の保証能力
- 社長の後継者がいるかどうか
- 銀行借り入れがあるかどうか
- 風評チェック
一般的な答えは1,2,3,4,5です。
6~10は、銀行借り入れの際、与信リスクとしてチェックする項目です。従って、直接、企業格付けとは関係のないものです。
なお、風評チェックとは、銀行は公序良俗に反した会社とは取引ができないため、さまざまな情報網から取引可能かどうかを調べることです。
では「企業格付け」について簡単に説明します。
企業格付けとは?
企業の決算ごとに、銀行の担当者が決算書のさまざまな数字を分析し、会社の通信簿を作成する作業のことです。基本的には、決算月から4ヵ月以内に銀行内部にて手続きを終了させているようです。
なお、会社の通信簿の作成には「定量評価」と「定性評価」の、2つの評価を点数化します。総合ポイント100点としている銀行が多いようです。最近の銀行事情では定量評価のウエートが高いことが多いようです。
「定量評価」とは、財務分析の数字を評価します。
安全性(自己資本比率など)、収益性(売上高経常利益率など)、返済能力(債務償還年数など)などの数字を分析します。
「定性評価」とは、定量評価ができない部分を評価します。
例えば、前年と比べ売上高や利益が伸びているかどうか、業界の成長性はあるか、資料の開示に積極的かどうかなどの項目です。
1,3,4は、「定量分析」、2,5は、「定性分析」ですね。
なお新規の銀行と取引するときは、3期分の決算申告書が分析されます。
では、上記の「定量評価」に該当する財務分析についてです。
質問2:飲食業で重要視される指標はどれでしょうか?
一般的な経営分析
- 流動比率、当座比率
- 商品手元日数、不良在庫のチェック
- 自己資本比率
- 自己資本比率対固定資産比率
- 固定長期適用率
- 総資本経常利益率
- 総資本回転率
- 売上高経営利益率
- 労働分配率
- 債務償還年数
一般的には10の債務償還年数です
決算期の債務(借入金十割賦)を、どのくらいの期間で返済(経常利益十減価償却費)できるかを求めた指標です。
基本的には10年以内にしておきましょう。10年超ですと収益力がなく、安全性が低いとのレッテルを貼られる可能性があります。最悪、要注意先というレッテルを張られたら大変です。
質問3:「定性評価」に該当するものを5つ選んでください
以下の項目から、必要と思われるものを5個選んでください。
- 業界の成長性があるかどうか
- 銀行が依頼する資料を提出できるかどうか
- 社長の後継者がいるかどうか
- 売上高、経常利益が増加傾向かどうか
- 金融機関からの取引状況は良好かどうか(メインバンクが交代していないかどうか)
- 店長がイケメンかどうか
- 定番商品があるかどうか
- お店がきれいかどうか
- あいさつがあるかどうか
- おいしいかどうか
一般的な答えは1,2,3,4,5です。
現在、金融機関では飲食業界は、厳しい業界と見ている節があります。従って、業績が良くても1の評価はあまり得られないので、2~5の項目でポイントを稼ぎましょう。
いかがでしたでしょうか?
このように、2つの評価(定量、定性)を実施し、総合得点を決めます。
その総合得点に基づき、基本的な会社への取引方針が決まり、融資する場合の諸条件(与信額、取引期間、金利水準、担保条件など)が決まります。つまり、この総合得点を高めれば、スムーズな融資を受けられる可能性が格段に上がるのです。
この2月号では3つの質問をしました。
企業格付け、イコール財務分析のイメージではなかったでしょうか?実は、なかなか深い意味があるのです。
なお書店に行くと、さまざまな財務分析の本が多数あります。

今回、飲食業ではこのくらいの数値指標を目指したいという目安を上記に示しておきますので、後で自分の会社の数字と比べて、高いのか低いのか比べてみてください。
そして、次回の決算のときに、良くなるようにしていきましょう!
このような日々の努力が必要です!そのささいな対応が、後々の資金調達に大きく影響が出てきます。
では、次回3月号では「年間の事業計画の立て方」について説明します。お楽しみに!
経理財務の役員は、得に必見です!
*1 ㈱繁盛商会
既に、都内に5店舗(年商5億円、3月決算)経営。5年後に50店舗、年商50億円を目指し、株式公開も視野に入れている。2009年の1年間で、5店舗の新規出店を計画。そこで、08年の年初より、本格的な銀行借入の戦略を練っている(架空の飲食企業)





