第4回 新規出店の事業計画の立て方
今月号は「新規出店の事業計画の立て方」です。
現在、新規出店を検討している社長!どんな新規出店の事業計画書を作成しようと思っていますか?自己流の計画書ではないですか?私が銀行に勤めていたとき、「銀行員が稟議書を書きやすい事業計画を作ってくれればいいのになぁ」といつも思っていました。
社長!以前、銀行の支店長に「新規出店の事業計画」を説明したとき、一生懸命説明しているのに、支店長がなんとなくつまらなそうな顔をしていた経験はないですか?銀行の担当者は人間なので、支店長が興味を示さなければ積極的に案件を取り上げようとしません。逆に、支店長が興味を持てば担当者は背水の陣でがんばるでしょう。ではどうすればよいのでしょうか?
私が銀行に務めていたとき、ある飲食チェーンの経営者がこんなことを言っていました。「面倒でしたが、初めて会う銀行員にも会社のことを分かってもらえるような新規出店の事業計画を作成。その後、複数の銀行から予想以上の融資の申し込みを受けてびっくりした経験がある。」とのことでした。そして、ある銀行の担当者がこんなことを言ったそうです。「社長、今回の新規出店の事業計画は銀行のアドバイスを基に書いたのですか?僕が今回の融資の稟議書を書くとき、この事業計画書は非常に参考になりました。本店の審査部の方にも好評でしたよ!」この瞬間、その社長の目からウロコだったようです。ささいなことかもしれませんがおもしろい話です。
質問1:「新規出店の事業計画」にはどんなことを書けばよいか?
以下の項目から、必要を思われるものを5個選んでください。
- 会社概要、社長の経歴
- 既存店の店舗別損益実績推移
- 新規出店の計画(新規出店の地図、周辺写真を含む)
- 損益・資金収支計画
- 新店周辺の飲食店オーナーのコメント
- 新規出店の屋号
- メニューの内容、写真
- 社長の熱い思い
- メディアに取り上げられた記事
- 現金売上げの銀行への入金講座
一般的な答えは1~5です。
その他の項目は追加して記載すると事業計画の得点アップとなるものです。特に、銀行は過去の実績を重視するので、2 既存店の店舗別損益実績の推移の資料は必ず作成して説明してください。なお前期決算や直近の試算表が赤字だと、いくら前向きな話をしてもスムーズな資金調達は難しいでしょう
では、「新規出店の事業計画」について簡単に説明します。
新規出店の事業計画とは?
銀行員は、新規出店をしたいのであれば既存店を黒字にしてほしいと思っています。なぜでしょう?銀行員は、赤字の店舗があるのに新規出店をするなんてのんきだなとおもうからです。なお、銀行員は必ず、新規出店をしたいなら赤字決算にはしないでくださいと言うでしょう。
仮に前期決算が赤字の場合(直近の実績は黒字)、早めに複数の銀行やリース会社にアプローチをしておきましょう。金融機関は社長に余裕がなければないほど融資したくなくなります(恋愛と同じかもしれませんね)。
さて「新規出店の事業計画」に記載する5項目について説明します。
- 1:会社概要、社長の経歴
- 過去の会社全体の損益推移や店舗(業態)一覧、および社長の経歴も記載してください。過去に有名なお店で修行をして独立していると、意外と銀行の評価は高まります。
- 2:既存店の店舗別損益実績推移
- 過去の店舗別の損益実績の推移を記載してください。仮に赤字の店舗がある場合は、赤字の理由と対策なども記載してください。
- 3:新規出店の計画 4:損益・資金収支計画
- まずは新規出店に伴う投資金額が幾らで、ちゃんと利益を出して借入金の返済が可能なことを記載する必要があります。従って、借入期間に対応する5~7年程度の損益・資金収支計画を作成しましょう。意外と資金収支計画がない場合がありますので注意してください。その際、年間の事業計画の説明時に好感触の銀行からアプローチしてください。なぜならあの銀行が融資するのであればうちもこのくらい融資できるなと考えるからです。
- 5:新店周辺の飲食店オーナーのコメント
- もちろん、銀行員は新規出店の場所を見に行き、付き合いのある飲食店社長に「このエリアはどうなのでしょうか?」とリサーチもします。しかし、社長自身がリサーチした「生の声」を事業計画に記載してください。さらに臨場感のある事業計画になるでしょう。
質問2:どんな損益・資金収支計画であれば、銀行の支店長がOKを出しやすいか?
以下の項目から、必要と思われるものを3個選んでください。
- F/Lコスト60%以内
- 家賃は売上高の10%以内
- 投資回収5年以内
- 水道光熱費5~8%以内
- 銀行とリース会社活用による初期投資の負担減
- バラ色の売上計画
一般的な答えは1~3です。
1~3は当然、既存店の数字を参考にして書かなければなりません。加えて4、5も記載できると、さらに銀行へのアピール度がアップします。
ちなみに6は論外です。逆に信用をなくします。
質問3:厳しいと思われる投資回収5年以内としている理由は?
以下の項目から、必要と思われるものを1個選んでください。
- 銀行員は業態の陳腐化など5年程度とみているから。
- どこの銀行も期間5年程度の融資が多いから。
- 銀行員自身、審査に自身がないから。
一般的な答えは1です。
過去の銀行内のデータの蓄積などから、融資期間は5年程度の考えが主流となっています。期間5年と7年の審査は、予想以上にハードルが高くなります。
まずは、期間5年の借入れで実績を作っていきましょう。
そう考えると、複数の業態を持っている会社に対しては、ひとつの業態が陳腐化しても他の業態でリニューアルできるので、銀行からすると、安心できる一つの要素であるとは言えるでしょう。
では、来月5月号では「銀行への決算説明の仕方」について説明します。お楽しみに!3月決算の社長と経理財務の役員は、特に必見です。






