第5回 銀行への決算説明の仕方
今月号は「銀行への決算説明の仕方」です。
特に3月決算の会社社長は必見!「銀行への決算説明」のやり方で、今後1年間の資金調達が決まってしまうくらい重要なものです。
今までどのような「決算説明」をしていましたか?銀行の支店長への決算説明の際、久しぶりの面談なのに差し障りのない「業績もぼちぼちですかね」といった面談では、今後の資金調達は惨敗ですよ!
なぜなら、銀行の支店長は数多くのお客さまとお付き合いしています。従って、残念ながら、すべてのお客さまに対し平等に時間を割いてくれることはありません。しかし、支店長は融資の決裁権限者(本部決裁除く)です。従って支店長と会うときは「恋人」と思い決算説明に臨みましょう。支店長、課長、担当のライン3人に説明するのがポイントです。
決算説明の際、支店長の反応次第で、課長、担当者のモチベーションが変わります。本当です。ではどうすればよいのでしょうか?
私が銀行に勤めていた時の、ある飲食Dチェーンの経営者の話です。「ここ数年、決算説明は経理部長に任せていた。しかし複数の新規出店を予定していたので、久しぶりに私が決算説明をすることにしたが、意外と自分の会社の強みを理解していないことが分かった。銀行支店長を自分の店に招待し、数時間をかけ会社の状況や事業計画について説明した」。その日の社長の熱い言葉に支店長は共感し、興味を持ったようで、数日後、銀行の課長と担当者から、「支店長から、新規出店の案件について前向きに検討するようにと言われています!」とのコメントをもらったそうです。この瞬間に「年1回の決算説明は、自分がしなければならない」と痛感したそうです。
早速、今月も質問です!若手社長、頑張ってください!
質問1:決算説明の際、必ず話さなければならない項目は?
以下の項目から、必要を思われるものを5個選んでください。
- 業界全体や会社の状況
- 決算の数字の説明、既存店の損益実績推移
- 中長期の事業計画(資金調達の見込み含む)
- 新年度の損益見込み
- 会社の課題に対する改善策
- 銀行との取引状況や融資の申し込み
- 社長の気合やスローガン
- 既存店舗の割引チケットの説明
- 既存銀行の対応が遅い旨のコメント
- 仕入れ、人件費、家賃コスト増の悩み
一般的な答えは1,2,3,4,6です。
その他の5,7,8の項目は、追加して記載すると得点アップとなるようなものです。ただし、9,10は、自社のマイナスコメントなので、暗い顔で支店長に話をしたら、絶対に借り入れはできないでしょう。
「決算説明の秘訣」について説明します。
決算説明の時間は30~45分程度。従って、まず、明確に社長の「志」を伝え、支店長の心を揺さぶり、「共感」をゲットしましょう。そして、次の5項目を説明してください。その際、会社の課題の改善策などを盛り込んだ事業計画なども説明するとベストです。
- 1:業界全体や会社の状況
- 飲食業全体、既存店舗周辺の状況や既存店がどうなのか話します。銀行員は分析好きなので、共感を得られるでしょう。
- 2:決算の数字の説明、既存店の損益実績推移
- 基本的には、前年対比の説明と、3年程度の店舗別の損益推移も必要です。客単価、坪売上げの推移も話せるようにしましょう。
- 3:中長期事業計画(資金調達の見込み含む)
- 3~5年程度の中長期計画(3、4月号参照)の説明が必要です。特に、多店舗展開を目指している会社は必須です。
- 4:新年度の損益見込み
- もちろん、銀行員は新規出店の場所を見に行き、付き合いのある飲食店社長に「このエリアはどうなのでしょうか?」とリサーチもします。しかし、社長自身がリサーチした「生の声」を事業計画に記載してください。さらに臨場感のある事業計画になるでしょう。
- 5:銀行との取引状況や融資の申し込み
- どの銀行も、既存銀行の残高やシェアを非常に気にします。前年より、増えているかどうか、新規の銀行があるかどうかなどです。もし、残高が減っていたり、取引がなくなった銀行がある場合は、きちっとした理由を説明してください。特に、業容拡大中の場合、できれば取引がなくならないようにしてください。いったん、取引がなくなると、再度、取引を再開するのに多大な労力を費やします。
質問2:支店長に興味を持ってもらえるような決算説明は?
以下の項目から、必要と思われるものを3個選んでください。
- 黒字決算であること
- 赤字店舗がないこと
- 取引金融機関が増えていること
- 債務償還年数が10年以内であること
- メディアに取り上げられた記事を見せること
- コスト対策の話をすること
一般的な答えは3,4,5。
1,2,6は企業格付けの観点から重要です(2月号参照)。
支店長も、この決算内容であれば、自分の決裁権限で対応が可能かどうかを見極めます。支店長に取り上げやすいと思わせる決算書を作成しましょう!
銀行の支店長は雑誌や新聞記事などに取り上げられている記事を読むのが好きです。このようなリレーションの構築により、3,6の話ができれば、さらに好印象でしょう。1は絶対条件。4も重要(2月号参照)。規模が小さい場合、単年度の赤字決算は命取りです。そうならないためにも、毎月、きちっとした試算表の作成ができていないと、決算前に節約しても後の祭りです。
質問3:支店長と話す機会が少ない場合 決算説明でどんなお願い事をすればよいか?
以下の項目から、これだと思われるものを3個選んでください。
- 新規出店の借り入れのお願い
- 銀行系列のリース会社の紹介のお願い
- 銀行のお客さま(工事業者、仕入業者、同業の社長等)の紹介のお願い
- ゴルフ接待の案内
- 割引券の配布のお願い
一般的な答えは1,2,3。
一般的に、銀行系列のリース会社は、既に系列の銀行と取引があると非常に新規取引がやりやすいと言われています。また、自社にとってメリットのある会社を紹介してもらいましょう。
4はあまり意味がないでしょう。
来月の6月号では「新規の銀行へのアプローチ方法」について説明します。お楽しみに!特に、複数の新規出店を控えている社長と経理財務の役員は、必見です!






