第12回 ちょっと豆知識
読者の皆さんは、この1年間で銀行員との付き合い方から決算対策まで、さまざまな資金調達の達人になるための「技」を磨いてきました。
しかし、最近の金融不況の波から、これからますます金融機関からの資金調達のハードルは高くなるでしょう。
間違いなく、審査基準はこれから厳しくなります。
実際、半年前であれば期間5年でも借り入れできたのに、最近は期間3年ならば審査部の了解が得られるかもしれないという声が多くなってきています。
しかし、ちょっとした豆知識で、この金融不況を乗り越えましょう!
では、早速、質問です!
質問1:金融不況の今だからこそ、実行すると資金調達のメリットとなることはどんなことでしょう?
以下の項目から、3つ選んでください。
- 定期的に銀行の支店長を接待する。
- 毎月、社長自らが銀行の支店長に月次試算表、店舗別損益の説明をする。
- 日々の売上目標の達成に向け、社員一丸となるための施策indexを実施する。
- 当初予算の見直しを実施する。
- 社内のコスト削減を進め、収益力を高める。
- 手元資金を厚くするため、設備資金ではなく、運転資金を借り入れする。
一般的な応えは(2)、(3)、(4)。
もちろん、(5)、(6)も重要です。
ただし、(1)は、接待ではなく、お店の料理を食べていただく機会を増やすのがベストでしょう。
金融不況時は銀行全体が保守的になります。
従って、今まで以上に、社長自らが、銀行の支店長とのリレーションを強化していきましょう!
店舗数が10店にもなると、さまざまな問題も出てきて業績不振の店舗も出てきます。しかし、(3)の対策を実施している会社は、しぶとく、それなりの業績を確保しています。その効果を、実際の店舗で銀行の支店長に感じてもらうのが重要でしょう。例えば、本日のお薦めのセールスがとても上手であったり、何げなく荒利の高いメニューのセールスが多かったり、社長が支店長に話した対策が、実際、お店で運営されているこが分かるととてもグッドです。翌日、間違いなく、支店長から「さすがですね!」との社長あての電話があるでしょう。
また、時々、銀行の本部の審査部の方々が全国の支店巡りをしています。その際、必ず、支店長と審査部の方が懇親会を兼ねて業務終了後、食事をします。従って、そんな時は、自社店舗で食事をしてもらえるように支店長にお願いしておきましょう。
なぜなら、企業規模が大きくなり、借入残高が増えていくと、業績が好調でも、稟議の決裁が本部の審査部になることがあります。その際、本部の審査部の方が、「あのお店ね!知ってる、知ってる」となると、結構、違いますので。本当です。
質問2:こんな金融不況の時に、新規出店のための資金調達で注意することはどんなことでしょうか?
以下の項目から、必要と思われるものを3つ選んでください。
- 初期コストを抑えるため、居抜物件での新規出店にする。
- その結果、通常の初期コストより、〇〇%もダウンできていることをアピールした事業計画書にする。
- 借入先の銀行店舗に売上高を入金すると説明する。
- 既存店舗の評判など、ブログ対策をしっかりと行う。
- 新店の店長の過去の既存店舗の実績を銀行に説明する。
- 初期コストを抑えるため、さらに、中古家具、中古の厨房などを最大限に利用することを説明する。
- 既存店とのシナジー効果((仕入れ面など)を説明する。
- 借入金の返済資金は、原則1、2か月分は、常時、返済口座に滞留させておくと説明する。
一般的な答えは(1)、(2)、(3)。
もちろん、(4)~(8)も重要です。
銀行の支店のお客様は何百社もあります。
従って、新規店舗の借り入れの申込みをしたとき、同じ時期に、他社も借り入れのお願いをしている可能性があります。その際、他社に差をつける事業計画、特に初期投資を抑えた計画がポイントです。銀行は比較好きなのです。
質問3:かつての銀行時代、支店長の心をわしづかみにしたのはどんなことだったでしょう?
以下の項目から、3つ選んでください。
- あえて遅い時間帯に支店長との面談をセッティングし、そのままお店に行き、社長の熱い話を聞けたこと。
- 社長の生い立ち、自分の強さ、弱さを語り、人間的な魅力を感じとれたこと。
- 休日、一緒に築地に行き、仕入先の社長を紹介してもらったり、お店の食材のこだわりを感じ取れたこと。
- 年に1度の会社行事に呼ばれたこと。
- その会社行事で、社長が従業員に対し、涙ぐみながらお礼の言葉を発したこと。
- お店の朝礼の場で「おもてなしの心」「ありがとうの言葉の大切さ」を社長が話し、その言葉を、社員がかたずをのんで聞いていた姿を見たこと。
一般的な答えは、3つではなく、すべてです。
(1)~(6)について、お互いに同じ時間を過ごしたら、間違いなく、銀行員は社長の会社に愛着がわくのを感じるでしょう。実際、私もそうでした。その結果、私が作成した稟議書はその感動を盛り込み臨場感にあふれたものとなり、支店長、審査部の方の心を動かしたと確信しております。
私が銀行員時代の体験を申し上げます。私は焼き肉チェーン店と新規取引をしていただきました。BSE事件が起き、売上げは急減し、月次損益は赤字となりました。この会社は、今まで順調に業績を伸ばしてきたこともあり、予算管理が甘く、コスト削減の意識も希薄なところがありました。
しかし、このBSE騒動の際、社長は、この危機を乗り越えるため、全社員に対し、社員のご家族・ご親戚の協力をお願いしたそうです。その後、必死になってお客さまを接待している息子を見たご両親たちが、食事を終わらせ会計していたアルバイトの方に、「とてもおいしかったですよ、至らぬ息子ですけどよろしくお願いします!」との言葉が各店舗に上がってきたそうです。この言葉だけで、お店の雰囲気が明るくなり、その明るさがお客さまを呼び込み、同業他社よりも先駆けて黒字に転換しました。
つまり、このような厳しい時だからこそ、筋肉質の会社にするチャンスともいえるのです。現在、金融不況の厳しい環境にありますが、読者のみなさま方と一緒に外食産業を盛り上げていきたいと思っております。
さて、この1年間「資金調達の達人」になるための情報をすべて盛り込みました。ぜひもう一度、昨年の12月号から連続して読んでみてください。必ず、お役に立てると自負しております。






