第1回 儲かるバックオフィスとは?
このたび、月間『飲食店経営』の編集部から、競争の厳しい外食産業においては、さらなるスピード経営が必要であるとのお話を伺いました。
私は外食産業のバックオフィス(経理財務、人事総務などの管理部門の意味)を経験したことから、以下のことを感じていました。
それは、儲かる会社には、儲かるバックオフィスの従業員がいるということ。そして、会社の迅速かつ的確な意思決定をするための必勝パターンを構築していますので、この1年をかけてその秘訣を話していきます。
今回の連載の対象は、これまで以上に儲かりたい会社ですが、次のような会社も対象になります。
1. 将来、複数の新規出店を検討している会社
2. 最近、業績が芳しくない会社
3. 銀行借り入れをスムーズにしたい会社
そして、現在、「経理財務」「人事総務」まで社長を含めて、3~5人(税理士、社労士は除く)で運営されているケースなどの業務改善を取り上げていきます(上場会社の管理部門の方々にも役に立ちます)。
今後の年間スケジュールは次の通りです。
第1部では「経理財務部門編」、第2部「総務部門編」、第3部「人事労務」各3回、第4部「儲かるバックオフィスへの転換」は2回の連載を予定しております。
第1部から第3部までは、全3回シリーズで、本社、店舗の業務効率化を学び、最適な業務フローなどについて学んでいきましょう。第4部では、第3部までに学んできたことを前提に、儲かるバックオフィスへの転換の進め方を、より具体的に説明していきます。
質問1:「儲かるバックオフィス」とはどういう意味でしょうか?
以下の項目から、3つ選んでください。
- 会社の資金を財テクして儲ける。
- 本社の正社員を削減し、人件費を下げる。
- 私語をなくさせ、残業代を削減する。
- 付加価値の高い仕事をしてもらう。
- 業務効率化を進め、事務処理能力のアップを図る。
- 意思決定に必要な損益などの資料を、短期間で作成する。
一般的な応えは(4)、(5)、(6)。
実際に、会社のお金の流れなどを把握しているのは、会社の経理財務の方ですし、人事総務は店舗の従業員の人たちとのコミュニケーションは多いでしょう。
そう考えると、会社のバックオフィスに従事している方は、日々さまざまな会社の良い悪い情報を収集しているのです。
その情報をうまく活用すれば、社長が望むスピード経営が実現できるのではないでしょうか。
では、実際に、(4)、(5)、(6)とは、具体的にはどんなことを意味するのでしょうか。
私が以前、ある飲食チェーンで経験した出来事をご紹介します。
社長 「嶋司さん、おかげさまで、毎月の試算表や店舗別の損益が10日ごろまでには把握できるようになったが、人件費の細かい管理ができていない。もちろん、事業計画に基づく予算管理をしているのだが……」という質問でした。
嶋司 「もちろん、いろいろなやり方があります!しかし、バックオフィスの従業員の方の協力が必要です」
社長 「問題ないよ!」
こんな会話をした1週間後、再度、社長から電話がありました。
社長 「バックオフィスの従業員から、最近ヘルプで店舗に行くことも多く、忙しいのに何でこんなこともやらなければならないのかといった声が社内で上がっていると言ってきた、どうすればいいか?」との話がありました。
後日、私は、社長とともに、経理財務の社員の方とお会いしました。
そして、他社のバックオフィスの功績で業績がアップした事例を紹介し、共感をしていただきました。
忙しい時間にベテランをヘルプに行かせる
この飲食チェーンの人件費の管理は、きちっと店舗ごとに予算管理をしており、毎月、店長会議などでも議論をしていました。しかしこの経理財務社員の方は、あることに気づいていました。
それは、毎月売上が芳しくない店舗はアルバイト代の総額は少ないのに、振り込みの人数が多いこと。その情報から、過去のシフト表などを見てみると、日々の売上が落ち込んでいるときはアルバイトの入れ替えなどがあったときということが顕著に表れていました。その対策として、近隣の店舗でベテランのアルバイトをヘルプで数時間フォローに行かせました。それだけでも各店舗の売上げが安定するようになりました。
実は、この経理財務の社員の提案で、日報に、日ごとのアルバイトの人数を設定し、さらに、各店舗のアルバイトの定着率や動向などをコメントしてもらいました。その集計をその経理財務の社員が行い、毎日社長に報告したのです。このようなことを一つ一つ行うことが、「儲かるバックオフィス」への第一歩です。お金を掛けずに、すぐにでもできることです。 ぜひ試してみてください。
質問2:日常業務を効率化している会社は、どんなことをしているのでしょうか?
以下の項目から、該当するものを選んでください。
- 月の振込日の回数を3~5日以内にする(給与等を除く)。
- 給与の支払いについて一定の期間をあける(2週間~1ヶ月)。
- 給与データは、銀行のネットバンキングにインポートし、振り込み処理を行う。
- 日報などはファクスでなく、メールでもらう(ASPの売上管理システムを利用しているケースも多い)。
- 店舗ごとに、現金売上げの入金専用の預金口座を開設し、必ず、翌日、または翌々日までに、入金の手続きをしてもらう。
- 食材などの仕入れの支払いサイトを統一する。
一般的な答えはすべてです。
複数の店舗を運営している社長!
1つでも実施されていない場合は要注意ですよ!
もしも、1つでもあれば、間違いなく、業務効率化できるものが山ほどあるでしょう!
なかなかバックオフィス業務については、いろいろ考えることがないかもしれませんが、バックオフィスには「宝」の情報が埋もれています。それを掘り起こせば、儲かるバックオフィスが顔を出してきます。頑張っていきましょう。2月号より、具体的な業務効率化の事例や進め方を話していきます。






