第9回 数値化による社員の意識改革
今月号は、人事労務部門の従業員が、率先して業務改善などのスケジュールを作成する方法や、スケジュール表の導入効果について説明します。
人事労務部門の責任者が、重要視するべきことは何でしょうか?
質問1:ある居酒屋チェーンの社長に、次のような質問をしました。人事労務部門の責任者は、どんな人間であってほしいでしょうか?
どんな答えがあったのか、以下の項目から1つ選んでください
- 大手企業で「実績」を残した人
- 「信頼」できる人
- 「愛」がある人
- 「変化」に対応できる人
- 「人」が好きな人
答えは(3)です。
もちろん、ほかの項目も重要でしょうが、「愛」に勝るものはないでしょう。
しかし、会社経営で「愛」を実践しているケースは少ないです。
さて、「愛」とは何?そんなことは分かっている!実際は難しいんだよ!と思われた人事労務の責任者の方もいらっしゃるでしょう。しかし、儲かるバックオフィスへの近道は、「愛」がなければ開けないでしょう。
社長!社長が創業したとき、何度か会社の危機があったと思います。しかし、奥さまの愛情で乗り越えられてきたはずです。世の中のどの社長も、「愛」が一番大事であることは分かっているはずですよね。
その「愛」を、いかにして人事労務部門の責任者や従業員に理解してもらうかがとても重要です。「愛」がなければ、今まで話してきたような業務の数値化をしたとしても、根本的な社員の意識改革はできません。
では「愛」を共有するためには、どんなことをすればよいでしょうか。
8月号では、スケジュール表の一例を挙げました。それを作成し、運用する前に、次のような場を持ってから運用してください。
簡単です!ただし、この3ステップは3カ月間で行ってください。
第1ステップ
社長または人事労務部門の責任者は、社員、アルバイトでも構いません。お客様、社員、アルバイトから信頼されている元気な女性・男性を1人、選んでください。この2人と人事労務部門の社員との信頼関係を確立する場を設けてください(親睦会の開催でもOK)。業務改善のプロジェクトチームの結成です。
第2ステップ
お互いにとても困っている事柄を抽出。重要なことは、その困っていることを解決するための否定的な言葉は使用しないことです。まずは「なるほど!その点に困っていたんですね。では、このような協力をすれば改善されますか?」などの会話の決まり事を決めておきましょう。
会議の後、すぐに打ち解けることはなかなか難しいので、自分たちが運営しているお店で、プロジェクトチームのメンバーによるお店の賄い料理を作るなどして、従業員やアルバイトの方に料理を食べてもらいましょう。
プロジェクトチームの皆が、一緒に力を合わせて料理を作るには、事前の段取りが重要ですよね。この経験がお互いのきずなを深めます。
第3ステップ
この段階では、人事労務部門の社員は自分の所属する部署だけのことではなく、お店のこと、お客さまのことなどを考えた意見が出てくるようになります(社長!この瞬間がたまりませんよね)。そして次々に、さまざまなアイディアが出てきているでしょう。
また、この第3ステップまでを経験し、具体的な行動をする段階では、社長や人事労務部門の責任者は、プロジェクトチームの皆が行動しやすいような環境をつくってくださいね。
これができれば、お互いに「愛」が花開いて、社内にもその「愛」という花が咲き乱れていくでしょう。
ちなみに、このプロジェクトチームのメンバーを入れ替えていくと、年間の教育研修としても活用できるでしょう。
ここまできたら、8月号で説明したステップを踏んでスケジュール表を作成してみてください。
上司からやらされているという感じの形式的な内容ではなく、本当の課題解決のための内容がスケジュール表に盛り込まれるでしょう。
また、プロジェクトチームの皆のきずなは、今後、何か社内で問題が発生したときに、社長や管理部門の責任者にとって助けてくれるサポーターになっていますよ。
質問2:このようなステップを踏むと、どういう効果が出てくるのでしょうか。
次の項目から1つ選んでください
- 人のきずなが生まれる
- ボトムアップの経営に移行できる
- 会社への愛着が増す
- 社員研修として活用できる
- 社員に経営者的な志向が芽生える
答えは(2)です。
もちろん、ほかの項目も重要でしょうが、何十店舗もある大手チェーンでなくても、この体制が構築できれば人材が育つので、着実に店舗数も増え、もちろん、利益も増えていくでしょう。
なお、プロジェクトチームには毎月、次のような報告書を提出してもらいましょう。その際には、自己申告制で点数を付けてもらいます。
そして、人事労務部門の責任者も点数を付けましょう。
今までは、「経理財務」「総務」「人事労務」部門の話をしてきました。10月から12月号の3カ月で、単なる会社の管理部門から経営管理部門への転換について、ポイントを押さえながら説明していきます。ぜひ、ご期待ください。






