第11回 バックオフィス3部門の連携と相乗効果
今月はバックオフィス3部門の連携をどうすればいいのか? その相乗効果の事例などについて話していきます。基本的なバックオフィスの主な業務としては、「経理財務」「総務」「人事労務」の3部門があります。場合によっては、システム部門もあるでしょう。
さて、会社が大きくなると管理部門の分業化が進みます。その結果、各部門の独自の考え方が生まれ、コミュニケーションがうまく取れなくなるケースが出てきます。もしかしたら、その調整で苦労している社長、管理部門の責任者がいらっしゃるのではないでしょうか。
そして、その改善策として、会社目標、各部門の目標、個人目標などを作成し、会社の方向性を統一させているケースが多いでしょう。また、社長はこんなことを話していませんか?
「必ず、各部門は連携して、業務に携わるように!」
質問:各部門の連携がうまくいかないのはなぜでしょう。次の項目から3つ選んでください。
- 現在、会社にとって何が重要なのかを、経営者が社員に話していない。
- 管理部門の責任者が、日々の業務に追われ、中長期的な視点で考えていない。
- 本社管理部門の社員が、店舗などの現場の声を聞く機会がない。
- 本社管理部門の社員が、店で食事をしていない。
- 社長と現場社員をつなぐ人材が育っていない。
- 各部門のリーダーが、会社全体の業績について理解していない。
もちろん、他の項目も重要です。
まずは、会社の状況(業績含む)については各部門のリーダーも把握し、管理部門だけの考えでなく、現場社員の意見も聞いて、お互いに頑張っていこうという意識改革が必要です。そのためにも、5.の人材育成も重要ですね。
また、会社の業績(売上げ、荒利などの数字)などは経理財務の社員は理解していると思いますが、なぜ、そのような数字になったのかを話せる社員は少ないです。
しかし、数字の意味を話せる社員を育てれば、バックオフィスの各部門の連携は取れるようになるでしょう。
例えば、新型インフルエンザの影響により業績が悪かったなどの話を店長がすれば、人事労務部門は、もっと、新型インフルエンザ対策の規定や対策を勉強するでしょう。
では、社長、さっそく以下の手順で各部門が連携できる下準備を整えてください。
[第1ステップ]
社長および管理部門の責任者は、バックオフィスの各部門のリーダー、または中核の社員に対して会社の状況を説明してください。
なお説明の仕方は、以前と比べ、自分たちの会社が好調なのか、苦戦しているのか、なぜ好調なのか、なぜ苦戦しているのかを具体的に説明しましょう。
そして、私たちは何をするべきなのかを、一緒に考えてもらいましょう。
[第2ステップ]
社長は、各管理部門のリーダーには、会社の状況を理解した後、店舗(現場)の話を聞く場をつくってあげてください。
店長会議でも構いません。
もちろん、各管理部門のリーダーや社員は、日々の業務で現場の社員の方と話したりしますが、店長会議などに出席すれば、現時点の会社の状況や方向性が分かります。
[第3ステップ]
第1、第2ステップを踏むと、何となく、各管理部門のリーダー間での連携の意識が生まれています。
そうすると、次のような発言もなくなっているはずです。うれしいですよね。
(1) 私たちは、期日までにきちんと数字を作成すればいい。それが仕事だ。
(2) 月次の締めをするのに、他の業務をする時間はない。
(3) 会社が自分に何を要求しているのかが分からないので、自分も何をしていいのかが分からない。
(4) 各チームの意識がばらばらなので、何かするときは、社長、または管理部門の責任者が調整してください。
では、この3ステップを踏んで、各部門の連携で相乗効果が出た事例を話します。
事例1(経理財務と人事労務との連携)
・Aチェーンの場合(10店舗)
「連携前」人事労務部門には、売上げの数字などは開示していなかった。
「連携後」経理財務部門より、店舗ごとの売上高に対する人件費率の目標数値や実績の数字をフィードバック。
「相乗効果」人事労務部門は、売上高に対する人件費率の目標数値から大きく下回っている店舗は、いつも、アルバイトの勤務時間の報告が遅いことを経理財務チームに報告。
「対策」経理財務チームは、店舗運営責任者に、毎日、アルバイトの勤務時間の締めを徹底させた。また、日々の売上げに対する人件費率を算出することで、その店舗の人件費率が1%減(金額ベース 月額10万円減)となった。
「注意事項」各店舗の店長には、学校の夏休みなどに、学生から、多めにシフトを入れてほしいとの依頼があったりします。そこは、お互いに話し合いながら、シフトを組むようにしていきましょう。
事例2(経理財務と総務の連携)
・B社の場合(4店舗)
「連携前」新規出店や店舗改修の場合、社長が各業者と交渉してすべてを決めていた。また、社長は時間的余裕もないことから、新規出店の際は設計業者に、照明器具などの 什器備品についてもある程度任していた。B社では、まだ規模が小さかったため、管理部門は総務部門(人事労務、経理財務も含む)のみ。
「連携後」発注に対しては見積もり制を導入。総務部門の経理財務担当者、備品等の総務担当者は、初期コストだけでなく、光熱費などのランニングコストも意識した照明器具や電球の種類を研究。
「効果」さまざまな発注先への複数の見積もりの徹底のルールが決められ、ランニングコストも考慮した新規出店の設備投資により、設備投資に対するリターンの基準(赤字店舗の撤退ルール)も作成することとなった。
「その他」総務部門が照明器具や電球の種類などを勉強することで、LEDのことなど、最近の情報も吸収して社長にフィードバックするようになったそうです。
事例3(経理財務と人事労務の連携)
・C社の場合(5店舗)
「連携前」来店客数が減少しているが、客単価が上がっている店が複数ある。今までは、店長会議などで、そういうこともあるのかな? という感じであった。そのことを、経理財務の社員が人事労務の社員に話をした。
「連携後」たまたま人事労務の社員を含め、管理部門の数人で食事に行ったとき、仕事の都合で、最初は3人で食事。その後、3人が加わり、最終的には7人で食事をした。その後、人事労務の人から、経理財務に、この間の食事にいったときの人数は何人になっていますか? との質問があり、確認をしたところ、来店数が3人のままになっていた。
「効果」今まで、間違った数字を基に議論していたことが判明。店長会議で、本件の事例を説明し、改善をお願いした。今後、多店舗展開する上で、早めに課題が分かってよかったとの社長のコメントあり。
「注意事項」意外と、真実の数字が分からず、間違った数字などで議論しているケースがあります。まずは、正確な数字をつくるための店舗マニュアルは必要ですね。
事例4(経理財務とシステムの連携)
・D社チェーンの場合(20店舗)
「連携前」店舗数が増えてくると、翌月の10日までの役員の資料作成のための経理財務部の残業が増えるような作業フローとなっていた。
「連携後」まずは、仕入れなどの受発注システムを導入し、その数字と会計ソフトとを連動させた。
「効果」仕入れ等の受発注システムの導入にはコストが掛かったが、店舗増に伴う管理部門のコスト増を減少させることに成功。このように、各部門ごとの連携により、ちょっとしたことが、実は重要であったりします。






