どんな数値管理をすればよいのか!
~社長、店舗統括マネージャー編~
今月号では、社長、統括マネージャーの数値管理について話をしていきまます。
一般的には店舗別損益、F/L比率、客単価、来店客数などの数値管理をしているケースが多いでしょう。しかし、「本当にこの数字は正しいの?」と思えるようなケースも多いのです。
なぜでしょうか?以下のような店舗別損益や資金収支の数値管理をしていませんか?例えば、
(1)店舗ごとの新規出店時の設備投資額を把握していない。
(2)店舗ごとの追加投資(改装等)の金額を把握していない。
(3)店舗ごと銀行借入金、リース、割賦の金額を把握していない。
(4)店舗ごとの銀行借入金の支払利息をすべて本社経費としている。
(5)人材募集費、広告宣伝費をすべて本社経費としている。
この(1)~(5)を考慮せず、店舗別損益や資金収支を基に数値管理をしている会社が多いのが現状です。
しかし、考えてみて下さい!
店舗別の数値管理で、(1)~(5)の数字を管理することで「本当にこの店は儲かっているのか」「儲かっているが、銀行返済、割賦が重く、この2年間は資金的には厳しい店舗になっている」とかの本当の問題点が分かってくるのです。
「そんなこと分かっているよ!」と言われるかもしれませんが、どの飲食チェーンでも新規出店の際、事業計画を作成し、銀行借入れ、割賦、リースの契約をします。しかし、実際の投資額は、計画より多くなった少なくなったなどのケースが多いでしょう。また、数年後に改装などの事象も出てくると、本当にこの店舗にどのくらいのお金を掛けているのかを正確に把握している社長は少ないのです。
本当です。さらに問題なのは計画に対する実績の分析をせず、「赤字でないからまあいいか」などと考えているケースです。社長だけでなく、社員の新規出店の目利き力を磨く上でも分析は必要です。ぜひ、(1)~(5)の数値管理もしてください。
月次の店舗損益は翌月の10日には確実に把握する
最近の金融環境の悪化で「数値管理」を強化していきたいが、どのように数字を上げていくのかがよく分からない、との質問も多いのです。
このような会社は数値管理をするための業務フロー自体に問題があるケースが多く、月次の店舗損益が1ヵ月後、2ヵ月後になってしまうことが多いのです。しかしこの厳しい状況下、スピーディな意思決定ができなければ意味がないですよね。
月次の店舗損益は遅くても翌月の10日には把握しないと意味がありません。そうしないと翌月の対策も遅れてしまいますからね。
では、簡単にできる月次の店舗別損益を把握するポイントを話します。この基本的な業務フローの考え方ができなければ、社長、店舗統括マネージャーの数値管理はできません。
(1)毎日、営業日報を作成する。
(2)店舗ごとに最寄の銀行預金口座を開設し、定期的に現金売上げを入金する。
(3)店舗ごとの仕入れ、経費の支払いを現金売上げから流用せず、小口現金から使用し毎月、清算する。
これだけで飛躍的に店舗ごとの損益管理がしやくすなります。特に店舗数が3~10店舗程度の会社は、本当の数値管理を目指してみてください。今後のさらなる多店舗展開を目指す上で、間違いなく役に立ちます。
店長や社員の異動時の原価率の上昇に注意
さて、今月号の本題である、数値管理のポイントについて説明します。
●売上げ入金について
「基本的な数値管理項目」「既存店売上高(営業日数調整後)」「客単価」「来店客数」「フード、ドリンク売上げ比率」
数値管理のポイント!
既存店売上げの減少理由は、近隣に競合店が出店するなどの外的要因か、それとも店長育成の遅れに伴うサービス低下による内的要因なのかを考えてください。その結果、来店客数、客単価にどのような影響が出ているのかを考えてみてください。
意外と内的要因による売上減のケースが多いのです。ちなみに、知り合いに対する接客と、それ以外に対する接客対応が違うことはないですか?お客さまのお見送りはしていますか?信頼がおけるアルバイトの教育に力を入れていますか?こんなことで売上げは左右されるものですよね?
●支出について
【売上原価】
「基本的な数値管理項目」「毎月末の棚卸し」「月次の主要な仕入金額の推移」
数値管理のポイント!
(1)再度、各店舗による発注状況を検証してみてください。結構、発注間違いや余分な発注をしているケースが多いでしょう。過去に1週間分の食材を発注して運営している店もありました。やはり、3日分程度にはしておきたいです。
(2)売上高に対する理論原価と財務会計上の実際の原価との差額を検証してみましょう。店舗によっては、従業員、アルバイトの賄い以上のずれが出ているケースがあります。注意してください。
(3)店舗の棚卸し実績。正確な店舗別損益の作成には不可欠な数字です。アルバイトに任せっ切りになっていないか注意。また、冷蔵庫内の整理整頓ができているかなどのチェックも同時にしましょう。冷蔵庫内の状況は、店の状況を反映しているケースが多いのです。
なお、月次ベースでの主要仕入先の金額の推移を把握することで、価格交渉にも役立ちます。また、特に店長や社員が代わったときは原価率が上昇するケースが多いので注意してください。
【販売管理費】
「基本的な数値管理項目」「給与」「雑給(アルバイト)」「家賃」「広告宣伝費」「人材募集費」「リース料」
「借入金利息」「カード手数料」など
数値管理のポイント!
(1)この不況下、家賃交渉は不可欠です。周辺の相場を調べてみてください。
(2)特に、売上高に対する人件費率の管理を営業日報でしましょう。
(3)売上高に対するシフトの状況。
(4)リース料がどのくらいの期間残っているのか理解しておいてください。
なお、前述した、店舗損益の項目に出てこない「銀行借入返済額」「割賦返済額」の把握は必須です。
社長、店舗統括マネージャーは、単に店舗別損益が黒字なので及第点というのではなく、毎月の銀行借入金返済、割賦返済も含めてプラスなのかマイナスなのかを把握する必要があります。
ただし、この数年の金融不況で、銀行借り入れ、リース・割賦の取り組み期間は3年程度のケースが増えました。この影響が負担になっている外食チェーンが多いのです。この1年間は資金繰りがとても重要なので、社長、店舗統括マネージャーは、ぜひ、店舗ごとの収支、会社全体の収支の計画を策定し、今後の対策を考えてみてください。
なお、次の数値管理も重要です。
(1)店舗ごとの社員定着化、退職率
→定着率低下は、人件費、人材募集費の増加につながります。
(2)勤怠管理の状況(遅刻の状況)
→社員、アルバイト間の不平不満の原因を事前に解決しましょう。
アルバイトの主力の大学生が就職でやめる時期でもあります。一時的に、アルバイト料が増える時期でもありますが、早めに主力のアルバイトの育成を図っておきましょう。
(3)店舗現金チェック(帳簿と現金のチェック)
→現金管理の重要性や緊張感を与えましょう。盗難、現金過不足が減ります。
最後に、この不況下、低投資での新規出店機会も増え、チャレンジするのかどうかを判断する上でも、ぜひ、この数値管理の強化を図っていただきたいと思います。これができれば、人生面白いのですが、業績も上向き、自然とお金も集まります。





