どんな数値管理をすればよいのか!(2)
~店長会議で数値管理をするべきポイント~
今月号では、店長会議で数値管理をするべきポイントについて話をします。
最近、必ず「数値管理」の観点から「店長会議」で次のような話をします。
(1)毎日、1店舗当たり3~5人お客さまが増えると、1ヶ月にどのくらい営業利益が増えると思いますか?
(2)毎日、3~5人増えた来店客数はいつごろの水準と思いますか?
(3)先月の接客サービスの成功例などの情報を共有してください。
今まで、数多くの飲食チェーンの店長会議に参加させていただきましたが、意外と、ちょっとした質問力でこんなに営業利益が上がるのかということを感じています。
しかし、過去に飲食チェーンの店長会議で話し合われる数値管理の話はこんな感じでした。
まず、店舗統括マネージャーから話があります。
(1)先月は、会社全体の売上高1億円、営業利益300万円、目標達成率は売上高5%減、営業利益1%減。
(2)店舗別の実績は、各店長から説明してください!また、先月の反省などを踏まえて、今月の売上高、営業利益、F/L比率、来店客数の着地予想を報告してください。
その後、各店長から先月実績、今月も厳しい着地予想の報告あり。そこで、各店長も何か話さなければいけないので、週末の金曜日に予約が取れなかったお客さまの囲い込みを行うために、電話受け付けの際に、翌週やその他の日程を進めるなどの対応を徹底していきたいなどの話がある。
その後、各店長間で意見交換がある。
しかし、店舗統括マネージャーは時間の関係からやむを得ず、今後の販促の施策などについて話し始め、最後はお決まりの言葉で「ぜひ、今月の目標達成を目指してください!」と店長にハッパをかけます。
売上目標を達成するために店長会議で何を話すのか
ここで質問です。
前述の通り、必ず「数値管理」の観点から「店長会議」で話す3つの事項を実践することで、参加している店長からの反応が多い事項を次の5項目から3つ選んでください。
(1)1日に3人のお客さまを増やすのは、意外と簡単ですね。
(2)お客さまとの会話が増えると、ABC分析の上位メニュー以外も、意外と売れるんですね。
(3)お客さまのお見送りをしたり、名刺を渡すだけで、意外とお客さまの顔を覚えるんですね。
(4)毎日の営業日報で目標の進捗状況を管理されると、大変ですが、いろいろ工夫するので、意外と良い結果が出るんですね。
(5)他の店舗の成功事例の情報を共有すると、意外と楽しいですね。
答えは、(1)、(2)、(3)です。
面白いもので、店舗売上を達成できるかどうかは、ちょっとした頑張りで全く違った結果が出るという成功体験をさせられるかどうかにかかっていると、最近、つくづく感じます。
実際に私自身、ある店長に、1日に3人のお客さまを増やしてください、そうしたら、店長のお店は目標達成ができますと説明したことがあります。そうしたら、翌月には目標を達成してしまいました。実は、ちょっと難しいかなと思っていたのですが・・・・・・。
私がその店長に何をしたのか?と詳しく質問したところ、以前の店長会議で話題となっていた「名刺の管理をきちっとしたら、翌日、そのお客さまが来店された」「店舗社員、アルバイトの親族、友達への割引チケットを給与袋に同封したら、いつも以上にみんなの連帯感が生まれ、お店が活気づき、それと同時にお客さまも増加した」との反応がありました。
さらに驚いたのは、反省点としてお客さまを待たせてしまったり、ファーストドリンクの提供が遅くなってしまったとの反応もあり、ホールとキッチンの連携をどうすればよいのかも改善中とのコメントもありました。うれしい限りですね。
ちなみに、特に私が興味を持ったのは、この会社はABC分析をしていましたが、ある店舗社員が誤発注をした余剰在庫(売れ筋ではない在庫)を積極的に売り込んだところ、今では売れ筋商品になってしまいました。お客さまのニーズは、どこに潜んでいるのか分かりませんね。
SWOT分析を用いて問題意識を共有化
さて「店長会議」で各店長から、意外と数値管理は面白いな!という雰囲気になったと感じたら、次のステップに進みましょう。
ここからがポイントです!ぜひお店ごとに数値管理上の「SWOT分析」を作成してみましょう。
例えば、次のような条件のA店舗があったとします。
2010年6月実績・・・売上高800万円、営業利益80万円
2010年6月予算・・・売上高850万円、営業利益130万円
前年実績・・・売上高850万円、営業利益120万円
(1)売上予算を下回っている(予算比、前年同月比とも6%減)。
(2)6ヶ月前に同じ業態の競合店が1店舗増えた。
(3)サラリーマンの常連客は多い。
そこで、A店長は下表のような数値管理分析をしてみました。
そうすると、次のような効果が出てきます。間違いありません。
(1)常連客へのお礼の気持ちやサービスレベルのアップの意識が高まった。
(2)さらに、常連客との会話が増えた結果、今後の社員打ち上げの時期などの情報を得やすくなった。
(3)その結果、来店客数が毎日4人程度は増やせるのでは!と思うようになった(毎日4人の来店客数増で、月刊売上高48万円、荒利益高34万円の増加となり、前年並みの数字まで回復すると明確に認識した)。
こんなことを毎月行うことで、店長は、今どの数字を注意しなければいけないのかが明確になります!
さて7月号では、どんな数値管理をすればよいのか!(3)~経理部門で数値管理をするべきこと~について話していきます。
| A店舗 6月 SWOT分析(例) | |
S(強み) ・本社経費負担後でも営業利益+80万円を確保。 ・新規出店の際の銀行借り入れの支払利息や借入金元金返済を勘案しても採算性のある店舗となっている(6月実績でキャッシュベースで+30万円)。 ・常連客の紹介によるお客さまの売上が30万円(宴会を含む)あった。 |
W(弱み) ・来店客数確保のため、販促費増(前期比+5万円)。 ・一部商品の値下げを実施(前期比、客単価▲500円) |
O(機会) ・近隣に競合店が進出後6カ月になるが、前年ベースの売上高は▲6%で下げ止まってきた(6カ月前は▲12%) ・また、来店客数も▲8人/日が▲5人/日まで縮小。肌感覚的にも、2、3カ月に1回は来店されたお客さまが戻ってきた感じがする。 |
T(脅威) ・近隣に競合店進出後、6月実績について前年同月比では、売上高は▲50万円、来店客数が毎月150人(▲5人/日)、客単価が▲500円/人(客単価4000円)。 ・今後も競合店が進出してくる可能性あり。 |
[注]SWOT分析とは、組織のビジョンや戦略を企画立案する際に利用する現状を分析する手法の一つ。SWOTは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取ったものです。これにより、問題点が整理され、問題意識を共有化でき、解決作を見出しやすくなります。





